母という呪縛 娘という牢獄 単行本 – 2022/12/16
齊藤 彩 (著)
サマリー
2018年に起きた滋賀医科大学生母親殺害事件の犯人とその家族の半生を、犯人目線で語ったノンフィクションの記録。
医学部受験を娘に強いて9浪させ、医学部看護学科に進学後も手術看護師ではなく助産師になるように強要するなどして母親は娘を支配していた。
最終的に、娘は母親を殺害し、遺体をバラバラに解体して遺棄した。
感想
なんとも筆舌に尽くしがたいというのが正直な感想である。
殺人という行為が許されないものであるのは自明の理であるが、被害者が加害者にしてきたことは死ぬこと以上に酷い仕打ちのようにも思える。
鉄パイプで殴ったり、凍える冬の夜に部屋着のまま外に出して土下座させたりなど、実の娘になぜそのようなことができたのか不思議でたまらない。
母親が娘を私物化することの恐ろしさ、そしてその場合の最悪の結末であると感じる。
一方で、この被害者である母親のふるまいなどはたしかに酷いものであるが、程度は違えど自分にも共通する部分があるようにも思えてとても怖くなった。
子どもを一個人として尊重することの大切さと難しさ、
自身の幸せを自分で定めて幸福な状態を維持することの意義を感じた。
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